なぜ銀行はライセンスを持つ事業者を断るのか
規制当局のライセンスと、銀行のリスク許容度は別物です。銀行が見ているのは認可の有無ではなく、「なぜこの顧客と取引しているのか」を自らの監督当局に説明できるかどうかです。したがって拒絶の多くは「御社に問題がある」ではなく、「このリスクプロファイルを自行のポートフォリオに抱える用意がない」という意味です。
口座開設前に確認される事項
- 所有構造 — 最終受益者まで。名義人や不透明な中間層を挟まないこと。
- 会社の資本の出所 — 個人顧客に求められるのと同じSOF資料を、法人レベルで求められます。考え方は同じです。
- 資金の流れのモデル:顧客の資金がどこから来て、どこへ出て行くのか。法定通貨と暗号資産の比率はどうか。
- コンプライアンス機能:責任者は誰か、どのような手続を定めているか、どの監視ソフトを使っているか、トラベルルールにどう対応しているか。
- 現地における実体 — 当該法域に実際のオフィスと人員を持たない事業体に対し、銀行が口座を開くことはまれです。
実務上の戦略
- ライセンス取得後ではなく、並行して着手してください。銀行との交渉には数か月を要します。認可を待ってから始めれば半年を失います。
- 1行に絞らないこと。3〜4行を並行して進め、暫定的な解決策としてEMIも視野に入れるのが実務的です。
- 口座を分けること:運営用、顧客の分別管理資金、準備金。これらの混同は、銀行にとっても規制当局にとっても危険信号です。
- 説明可能な物語を用意すること。銀行が必要としているのは、そのコンプライアンス部門が自らの監督当局に示せる文書です。当事務所が作成するのは、まさにその資料一式です。
銀行取引にかかる費用は、手数料や資本と同等の項目としてプロジェクト予算に織り込んでください。暗号資産事業の口座維持手数料は、通常の法人向け料金を大きく上回ります。
よくある質問
銀行口座なしで事業を行えますか?
実質的に不可能です。法定通貨の経路がなければ、給与、賃料、税金の支払ができません。EMIによる解決は一部の課題を補えますが、すべてではなく、それ自体の安定性も劣ります。
暗号資産事業者の口座開設にはどのくらいかかりますか?
資料が整い構造が明快であれば2か月程度から、長い場合は半年です。ある1行で断られることは通常の出来事であり、だからこそ複数の交渉を並行させる必要があります。
ライセンスを取る法域の選択は銀行取引に影響しますか?
直接に影響します。銀行が積極的に口座を開く制度もあれば、ほとんど開かない制度もあります。これは法域を選んだ後ではなく、選ぶ段階で考慮すべき点です。
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